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*破戒、殉教、佐賀のがばいばあちゃん、など

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最近は英語の勉強などをしていたため、あまり読んでいないのだけど、備忘録として。

三島由紀夫 - 殉教

短篇集。冒頭の小説の読み難さで読むのを止めようか迷ったけど、我慢して読んだらまあまあ面白かった。2篇目以降は読みやすく、その独特の絶望的な暗黒の精神世界に存分に浸れる。会社に着く頃にはかなりダウナーな気分になること請け合い。

開高 健 - 夏の闇

輝ける闇 が傑作すぎたので、これも読んでみた。前作は読後のカタルシスも凄く、エンターテイメントとしても一級だと思ったが、これはちょっと違う。ひたすら濃密な闇を堪能するためのダウナー系の上物の麻薬だった。前作は面白いとも言えたが、これは面白いとは言えないだろう。また別の何かだ。

島田 洋七 - 佐賀のがばいばあちゃん

ああ、なんか昔流行ってたな、と思って何気なく買ってみた。が、侮れん。侮れんよこれは。小学生でも読めるであろう平易な文章の中に、笑いと涙とポジティブさをここまで込めるとは。そしてこの戦後の貧困の中の純粋さは、成熟しきって膿んだこの社会に対するアルコールのようなものだな。ひりりと染みる。

酒井順子 - その人、独身?

週刊現代で連載してて、着眼が面白いなと思っていたら古本屋で100円だったので購入。なるほど「負け犬」の名付け親だったのか、道理で言葉にセンスがある。ニヤニヤが止まらない系である。が、面白いんだが、こういう下ねたも織りまぜたエッセイってオッサンが書くなら気にならないが、35以上の女性が書いているかと思うと何だかこっちが気恥ずかしさを感じるのは僕だけか?いや、その痛々しさも含めて楽しめってことかね。

島崎藤村 - 破戒

穢多であることを隠し、教員をやっている瀬川丑松くんの話。まあ、いろいろ悩み酷い目に遭うというとても暗い話なんだけど、面白くてすぐ読み切ってしまった。様々なテーマを内包した多態性を持ちつつも、読みやすい理由は、友情や愛情や淡い恋愛や、あからさまな悪といった、分かりやすい軸があるためか。裏表紙に「近代日本文学の頂点をなす傑作」と書いてあり、また適当な事書いてるなと思ったが読後は納得した。

阿佐田哲也 - 牌の魔術師

お茶の水の裏びれた古本屋で購入。全部読み終わってから、文庫版を大学生の時に買ってたことに気づく。が、満足だ。やはり何度読んでも面白いものは面白い。新宿で飲んだ帰りにふと渋谷の雀荘により、役満を上がって帰れなくなり徹マンになり次の日の会社を午前半休する、そんな若かりし日々を思い出させてくれる。