coding, photo, plant and demo

*池田という辛口の日本酒

20160612 222045
義父は酒飲みだ。

平日は家で飯を食べたことがなく、常に飲んでいたらしい。しかも飲む相手も国会議員やら事務次官やら大企業の偉い人であることもあり、赤坂の料亭で朝まで飲んで家に帰ってまたすぐ出勤という日も良くあったという。僕からすれば雲上の人である。

聞いた武勇伝の中でも凄かったのは、韓国の大財閥の偉い人と 爆弾酒 対決で勝ったという話。ウイスキーをビールで割った酒の一気飲みを、どちらかが潰れるまで繰り返すという、大変危険な飲みである。相手も相当飲める人で「これで飲み負けたのは初めてだ、義父さんあなたは凄い!」と言わしめたそうだが、自分も限界を超えて飲み過ぎたため、その後蕁麻疹が出て1週間ほど入院する羽目になったという。

僕の武勇伝といえば、せいぜい研究室の新歓で飲み過ぎて意識を失い救急車に乗って目が覚めたら点滴打たれていたとか、飲み過ぎて目が覚めたら終点のつくば駅で駅から閉めだされ、居合わせた同じような酔っぱらいで終電を逃したおじさんが携帯まで無くしてて困ってて、携帯を貸したら家族が車で迎えに来たんだけど、なぜだか僕も一緒に乗せてもらうことになり、そのうちで一泊して朝ご飯まで戴いて、その息子と車に駅まで送ってもらいそのまま出勤したとか(大変お世話になりました)、同じく気づいたら守谷駅で終電終わってて、仕方ないので冬じゃないし始発まで野宿でもするかとベンチで寝ていたら、見知らぬおじさんが「そんなとこで寝ていたら置き引きに遭うぞ!吉川まで帰るところだし流山なら途中だから送って行ってやる」といって最寄りの駅までプリウスで送ってもらったとか(大変お世話になりました)、せいぜいそれくらいのダメ人間自慢であって、スケールとベクトルが違う。


義父の座右の銘は「酒は殺して飲め」(唯一殺せなかったのが爆弾酒)。普通に考えれば結構な収入があるはずだがその割には慎ましい生活をしており、お金は酒に消えたと豪語している。仕事上に関する一言で印象に残っているのは「自分がどうやったら組織に貢献できるかを常に考え続けろ。どんなに優秀でも自分のことしか考えない奴は出世できず消えていく」という言葉。当たり前と言えば当たり前だが、上まで上り詰めた人が言うと重みが違う。

そんな義父が一番美味いと言う日本酒は、霧筑波の知可良というお酒。

これは確かに美味い。高いけど。

酒を飲まないうちの親父が、そんな義父への手土産として以前用意したのが、地元愛知の醸し人九平次だった。

なんで酒を飲まないのにこんな美味い酒を知ってたんだろう。どちらもフルーティーで今時の日本酒という感じ。


そして、貰い物だけどなかなか美味い、と言って義父から1本譲り受けたのがこの池田というお酒。

キレのある辛口でオッサン好みな感じ。刺し身など魚と合うし常温で美味しいので気に入っているのだけど、検索しても一切この銘柄が引っかからない。なんだこりゃ?非売品?


ラベルを見ると千葉県山武市の梅一輪という蔵元のものらしい。が、ホームページを見ても記載なし。
ただ、梅一輪の清酒は基本的に辛口のようなので、銘柄は違うものの麹は同じなのかも。九十九里浜沿いの山武市の蔵元なら、魚と合う辛口の酒を作るというのは合点する。



よく見ると、瓶の中段に貼っているラベルに何やら書いてある。池田忠美さんという方がこだわりをもって梅一輪に指示して作ったものらしい。敢えて指示しなくとも純米酒なら増醸酒ではない気がするんだけど謎である。


じゃあ売っている梅一輪の商品と全く同じかというとちょっと違う。
精米率が70%/45% (掛米/麹米)。

http://www.umeichirin.com/item.html
を見ると、梅一輪は品評会に出すものは40%/40%で作っていて、特選である大吟醸は50%/50%(大吟醸を名乗るには50%以下でなくてはならない)。上選は70%/50%。
となると、上選の純米酒のちょっと上といったところか。

よくよく池田忠美さんで調べると
http://www.chibayogyo.co.jp/H190429-kaicyo-jyokun/H190429-kaicyo-jyokun.pdf
な記事が引っかかるので、おそらく仕事上の付き合いのある方で、趣味で作ったものを貰ったということなんだろう(義父も土木建設系)。空いたら代わりに梅一輪の特選あたりでも買ってみようかな。