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*山一證券

memo book 20080422 223340

故小渕恵三似の野澤社長が記者会見で号泣してから早10年以上。
損失補填、総会屋への利益供与問題等でタダでさえ証券業界が揺れていたときに、四大証券の一角である山一が簿外債務2600億円によって実質的な債務超過に陥り、資金ショートで自主廃業に追い込まれたのは衝撃でした。

一握りのトップ達の自己保身と判断ミスと先送りの積み重ねによって、かつては業界一位の大企業が、銀行や大蔵省、外資からも見放され、会社更生法すらも適用が許されず、万策尽きて廃業に追い込まれていく様が、内部資料や関係者1000人以上に及ぶインタビューに基づいてに描かれています。読売新聞って実はすごいんだね。

読んでいると、ホラー映画等で「バカ!なんでそんなことするの!?絶対死ぬから!」とツッコミを入れたくなる葛藤に近いものを感じさせられます。

例えば、野澤社長が簿外債務の事を知らずに *0 社長に任命された後に、行平と三木からその秘密を打ち明けられところ。そこで手の平を返して彼らの犯罪を告発すればいいのにしないのが、あーあ、こいつ人生オワタって感じ。会社を愛して上への恩義を通そうとして共犯になっちゃうんだよね。決して、悪い人じゃないというかむしろいい人なんだけど、判断力がなかった。
三木も行平の傀儡だったのに、簿外債務を実行したときに社長だったせいで実刑だし *1
法令より上司の意思を優先するリスクを、何故この人たちは分かってなかったんだろう。

この手の破綻といえばアメリカのエンロンがあります。簿外債務で損失を隠して、売り買いを同時にやって見せかけの売り上げアップとか、そりゃやりすぎでしょ。つーか、そんなクレイジーな会計を見抜けない監査法人ってどうなのよ!って思うんだけど、エンロンは監査法人自体がグルだったというオチ。正直そこまでやられるとどうしようもないね *2

いち会社員としては、いつ会社が潰れてもいいように、自分のキャリアを積んでいくしかない
ってことを改めて考えさせられました。
*0 : つまり既に会社が実質的に破綻していることを知らずに
*1 : 実質指示していた行平は執行猶予付きなのに!悪い事をするなら院政に限るぜ
*2 : 山一の場合も結局監査とグルだったんじゃないかと思う。じゃなかったら監査法人がアホすぎる