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*ソニー最後の異端―近藤哲二郎とA3研究所

book 20080517 151309

立石さんは技術系の話をしない方が良いんじゃないかなあ。

技術ではなく、なぜこの研究所が御取り潰しになったのかを、政治的、マネージメント的な側面から考察した方が、意味のある本になると思う。

そういえば不況期、中央研究所不要論が台頭し、実際に日本企業の研究所が随分消えた時期があり、技術の日本が危ぶまれるという論説が聞かれました。
確かに研究は重要です。しかし、ビジネスに結びつきようのない研究のための研究は、大学には必要かもしれませんが、企業には不要なのです。研究をしていればそれで良いというわけではありません。当時の中研がどうだったかはよく知りませんが、潰されるのには分けがあったのだと思います。

ひとつに、研究所は市場と直接結びついているわけではないので、自然淘汰されにくく、組織が腐敗しやすいという問題があります。
例えば、大企業の一部の研究所の特権的な意識は、研究を製品に応用し、世に役立ち、その過程でお客様からお金を戴くという、当然のサイクルよりも自己保身を優先するようになります。つまり商品の成功よりも、自分の立場や成果を守ることが重要になり、事業部に対して過剰に秘密主義に陥ったりします。これでは良い技術が生まれても、役に立ちませんし、利益貢献もできません。

かといって事業部に密着した形の研究所では、手近な技術ばかりを追い求めていしまい、革新的な技術は生まれにくいでしょう。また、利益貢献していないといっても、もしかすると今世の中にフィットしていないだけで、潰してはいけない金の卵なのかもしれません。経営者の技術を見る眼が会社の将来を左右するのです。

とまあ、研究所の下っ端は思うわけだよな。