引越しで要らない本が何冊かあったので、BOOKOFFに持ちこんだ。
持ちこんでから「これは売ったらだめじゃん」と気づいたのがこの本である。
高専の卒業生のコメントを中学生向けにまとめた本で、何故か僕も2Pほど寄稿している。
で、今読み返すと酷い文章だ。盛大に吹いた。
執筆時25歳ということは、ほぼ就職したての頃だ。
締めの言葉が「いつか世の中を変えるような新しいコンピュータ・アーキテクチャのパラダイムシフトに関わりたいと日々研究しています」ってちょっと誇大広告だろ!そんな研究してねえだろ君。
確かにverilogも書けばCも書いてたから、嘘じゃないかもしれないけど。詐欺っぽいな。けど確かにそう思って入社したのだった。そして今も面白いアーキテクチャはいつか作りたいと思ってる。今の部署に入ってからはCとjavaとperlしか使ってないから、思ってるだけって感じだけど。
当時のそういう思いに至った背景を顧みた上で、
今ならどういうアドバイスを中学生にしてやれるだろうか。
まず当時の背景であるが、あの頃学生時分から自分はCELL等の新しいアーキに夢中だった。
時代は、EE+GSという当時の常識をぶち壊したアーキを設計開発して圧倒的な性能 *0 を持ったPS2で天下を取ったSCEが *1 、また同じように新しいアーキを引っ提げたPS3を出そうという次世代ゲーム機戦争前夜だった。
当時の情勢からすると、ハードの革新的な刷新による圧倒的な力こそが、計算機におけるビジネスで勝利するための必然的な手段と思えたし、そういうことに関われれば最高に面白いだろうな、と思っていた。石に夢があった時代であった。
で、結局関われずに今に至るわけだけど、現在戦果を上げている企業、つまりAppleや任天堂をみると当時と全く状況が異なることに気づく。
そう、アーキなどどうでも良いのだ。
Appleはありがちなカスタムチップで性能は普通だし、任天堂のWiiに至っては前世代に毛が生えた程度のハードで性能はライバルに大きく劣る。彼らは残念ながらコンピュータアーキテクチャに関しては、何の独自の工夫も面白みもないのである。 *2
彼らが市場から評価されている点は、言わずもがなUIの工夫である。
かつては市場の評価におけるボトルネックがハードウェアの演算能力に在った。
それがハードの進歩により、いつの間にかUIに移ったのである。
かつてやりたかった仕事は、もはやビジネスの主戦場ではなくなっている。
では、中学生になんとアドバイスしようか。
世の中を見渡し、次のボトルネックを予想して、それに自分をベットしろとか?
それは余りにもつまらない生き方だなぁ。
結局のところ「やりたいことをひたすらやれ」としか言いようがないのだと思う。
職人になれ。ボトルネックなんて、もぐら叩きみたいなもんだ。
ある場所を徹底的に潰せば、他の場所がボトルネックになるだけ。
変に大局をみたつもりになって振り回され、どの技量も中途半端になるのが一番危ない。
どんな時代になるかなんて、誰にも分からないのだから、自分の活躍できる時代が絶対に来ると信じて、やると決めた道を突き進むのがいい。
それにやりたいことをやってそれで食っていくのが、一番高貴な生き方ってもんじゃないかい?
と思ったが、それじゃあとにかく勉強しろという親とあんまり変わらんわけで、情報量0ですな。ヒャハー
*0 : これは異論もあるかもしれないが、そのスペックが圧倒的過ぎて、可愛げがないとか、化け物と呼ばれていたのは当時の雑誌を見れば分かる
*1 : それにしても、新しいアーキを新規で起こして、それを1億台も普及させてしまうなんて、そんなことができた会社は後にも先にも当時のSCEだけだろう
*2 : 逆に工夫している会社ほど利益が上がっていないような状況だ
*1 : それにしても、新しいアーキを新規で起こして、それを1億台も普及させてしまうなんて、そんなことができた会社は後にも先にも当時のSCEだけだろう
*2 : 逆に工夫している会社ほど利益が上がっていないような状況だ