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*ミニトマト探訪記

日記 20100418 195729
今日は会社に行く予定であった。
友人の結婚式の二次会があるという嫁を有楽町まで送り、
その足で会社へ行く予定だったのだ。

5月の連休前に片付けたい仕事がかさばっている。
そして今週は飲み会続きでろくに残業もできない。
スケジュール的に日曜は働いた方が無難だろう。
少しでもコーディングを進めておいた方が身のためだ。

そうは思っていたが、久々の陽気な天気に心が少しずつ揺らぎ始める。
こんなに天気が良いのに会社に行ったら人生負けじゃね?
てか、どうしても今すぐミニトマトの苗が欲しいったら欲しいったら欲しい。
一刻も早くベランダに置きたい。今日はそんなミニトマト日和だ。

気の迷いを抱えつつ、嫁が昔行ったことがあるという、
帝国ホテル脇のガード下にあるパスタ屋チャオにて昼飯。

「ねえ、目の周りの腫れ気にならない?」
「気にならんよ。いや、よく見たら分かるけどさ、普通分からんて」
「あなたでわかるってことは女の子は絶対分かるわ!!(涙)」
「そんなことどうでもいいやん。それより、ここらへんにミニトマトの苗売ってないかな?」

嫁は花粉症か何かで目の周りが少し腫れていることを昨日から気にしているが、
僕には正直どうでも良いことのように思える。

そうこうしているうちにご飯が出てきた。
パスタ自体は並か。ただサラダバーが充実していた。ミニトマトも食べ放題だ。
おかげで食べ過ぎて吹っ切れた。出社は中止だ。


てことで鞄にはノートPCが入っているが、今どうしても欲しいミニトマトの苗を探す度に出ることにした。
嫁には呆れられた。

まずは無駄とは思いつつパスタ屋のお兄ちゃんに聞いてみる。
「ここらへんで園芸屋知りませんか?」
「知りませんが…」
そりゃそうか。

嫁によると、モザイクの3Fあたりに植物売ってるところがあるらしい。
有楽町の一等地にミニトマトの苗が売っているとはとても思えないが…

嫁を送った後一人で、ダメもとで行ってみるがミニトマトの苗は無い。
けど、トマトの種と鉢と土がセットのものが、800円くらいで売ってて吹いた。
バジルの苗も普通の園芸店なら100円のところを350円。
高すぎだろ…銀座。

この土地で苗を探すのはどうやら無駄な気がしてきた。
他に行く当てもないし、それに一人で銀座をぶらぶらしていても、あんまり楽しくない。

となると、どこに行けば良いのだろう。
園芸といえば老人の趣味、老人といえば巣鴨だ。巣鴨に行けばなんとかなる。
とか思ったけど、ちょっと遠いし、外れた時の精神的ダメージが大きい。

よって雑多な店が集まっている御徒町から谷中までを探索することにした。
これなら帰り道だし散歩にも調度良い。霊園と商店街は大好きだ。

まず御徒町。園芸店、花屋は何件かあったが、ミニトマトはなし。

北上。不忍池を渡り、上野へ向かう。
ソメイヨシノも葉が生い茂り、池には無数のボートが浮かんで家族連れやカップルが楽しそうにしている。
なんとも良い休日ではないか。
ビールでも飲めたら最高だな。

さて、上野恩賜公園でよく植木を売っているのを思い出すものの、今日はその気配はなし。
だが、その代わりにどこからともなく軽快なジャズ音が聴こえてくる。

http://www.youtube.com/watch?v=SD4AzsJsYB0

ジャズボイラーズというバンドらしい。
ウケるのが一部楽器が自作なところ。箱と空き缶で作ってるのがツボだ。缶を叩いて音が出るというのは、日常的なことのはずだけど、それがここでは非日常的なものに転じている。なんとも不思議な感覚。

暖かい春の昼下がりに、緑の溢れた公園で思いがけずジャズを聴く。時間にも縛られず、人にも縛られず。
最高の時間じゃないか。
ビールの販売をしてたら、間違いなく買ってた。

それはともかく、最後まで聴かせて頂いたけど、観客も演奏者もみんなが楽しんでた良いライブだったと思う。
久しぶりに路上の演奏にお金を払った。


その先にあった野球場で草野球を観戦する。
バックネット裏で至近距離で見る野球は迫力が段違いだ。
外野席から見るプロ野球よりよっぽど面白い。
さっきのジャズじゃないが、人だかりができている。

場面はランナー1塁、ツーアウトツーストライク。打者は空振りしかしていない状態。
しかも小柄で痩せ気味で「追い込まれちゃったよ…どうしよう」等と弱音を吐いているのが聞こえる。
すぐチェンジかと思いきや、そこからタイミングが合ってきて、なんと全部カットして粘って四球。
そしてフライを落球するという草野球らしいエラーが絡んだ後に打線が爆発しビッグイニングに。
ほんと、筋書きの無いドラマだね。
外人が夢中で写真を撮っているのを横目に、東京国立博物館方面へ向かう。


博物館と江戸時代と思わしき門の威容を正面にしつつ、
広広とした空間に緑が広がり、噴水が青空へ向かっている中を、ゆっくりと歩く。
公園にいる人もみんな幸せそうだ。

あれ、上野公園ってこんなに良いところだったっけ?
上野公園に永住したくなる気持ちも今なら少し理解できる、かもしれない。


博物館手前で谷中へ舵を切る。
上野公園に横に東京芸大があることを初めて知る。

寄るつもりはなかったけど、吸い込まれるように東京芸術大付属図書館へ入ってしまう。
この入り口の構えは魔力的なものがある。
そして幾らか立ち読みして、

を買った。何故かは分からないけど、最初の数ページを読んだだけで引き込まれた。
主に京都の桂離宮の天文学的な意味と歴史的背景を読み解くという内容。




さて、時間がなくなってきたので、急いで谷中を横切る。

思ったのだけど、観光客の外人がかなり増えてる気がする。
上野なら外人が多くてもそれほど不思議ではないけど、谷中でこれだけ居るのはどういうことだろう。
特にドイツ人が至る所に居た。
日本人が見向きもしない、裏びれた墓地や小さな寺でドイツ人が日本製のカメラやカムを回しているのは、それ自体が一種の見世物のような気がした。
カメラを持ってこなかったのが悔やまれる。

谷中銀座も完全に観光者向けの商店街になってるのだな。
これは下町とは言わない。
真の古き良き時代の商店街を見たいのなら、ここから15分かからず行ける三ノ輪の商店街に行くべき。あそこはガチだ。ガチすぎて観光にならないけど。

名物の80円のメンチカツが食べたかったけど長蛇の列だったので諦める。


ということで、園芸店を十軒程度周り、ミニトマトはないと言われ続け分かったことは、

「一般的にミニトマトはこの時期入荷していない」

ということですね。
霜が降りるとダメになるので、完全に暖かくなってから入荷だそうです。普通は。
よって、特に今年は寒い日が続いたので、おそらく連休明け以降とのこと。
そんなに慌てなくていいよ、と言われた。

そうか。
そりゃ仕方がない。
てか、気づくの遅いだろ俺。


残念だったけど、手ぶらじゃ惜しいので、ローズマリーと山椒を買って帰った。
嫁が帰ってきた時の言い訳を考えておかねば…