coding, photo, plant and demo

*イノベーションのジレンマ

book 20100706 071527

今さらだけど借りて読んだ。
これは技術者も必読!ってほんと今更だなあ。

読後1ヶ月なのでうろ覚えではありますが、一番印象に残ったのは、
「組織の価値はその中にいる人材で決まるのではなく、プロセスで決まる」という話。

何故大きく成功し成長した企業が、革新的技術を生み出せなくなるのか。

それは大きく成功する企業は、顧客の要望を取り込みシェアを市場を拡大するのに適したプロセスが支配的になるため、顧客の要望を無視した技術を世に出して市場を創造するプロセスが失われるから。

というわけで猫型プロジェクトという話があったので、ちょっとこの本を思い出したという話でした。


以下蛇足。

ちなみにイノベーションのジレンマでいう革新的技術とは、例えばHDDで言うなら14インチHDDしか市場がないけど、敢えて8インチを作って売り出すことを指す。記憶密度を倍にする全く異なる仕組みのヘッドを開発しました!は当てはまらない。それは持続的技術に分類される。

本に書いてあった例だと、既に市場が大きく利益率の高いメインフレーム向け14インチHDD市場を確立した大手メーカーは優良企業であり、当然優秀な人材も多く集まる。そして優秀な経営者はより売上や利益率を高めようとする。その結果、さらにメインフレーム向けの市場でのシェアを大きく取ろうと努力する。それが真っ当な経営プロセスであり、それに反して市場が無い8インチHDDに投資する判断は難しい。

しかしメインフレームに相手にされない新興企業が8インチHDDを無理やり売り込んだ結果、ミニコンで採用される。といってもミニコン自体がメインフレームと比べれば粗利も悪く市場も未だ殆ど無く成功するかも分からない。よって、14インチを作る大手は8インチに参入する必要がないと考える。
ところがミニコンは性能向上と共に成功し、徐々にメインフレームを駆逐していく。同時に8インチHDDも性能を向上していく。結果的にメインフレームは壊滅し、残ったメインフレームも成長した8インチHDDで十分となってしまう。14インチHDDメーカーはそれに気づいた時には既に手遅れで滅びるしかない。

なぜ14インチHDDメーカーが後出しで8インチHDDに参入して成功しないのかは、異なるバリューチェーンの形成が原因だという。つまり、ミニコン向けの世界はメインフレームとは販売チャネルも要求される信頼性も価格も異なるため、単純にサイズを変えただけではメインフレーム向けの仕様や販売方式はマッチしない。

面白いのは8インチHDDを真っ先に作ったのは14インチメーカーだということ。研究開発陣の準備はできてきた。ただ、市場調査の結果必要ないと判断され、売り出すこと、いや市場を創りだすことができなかった。

そしてこれと同じことがミニコンからPCへの移行で起きる。8インチHDDを作っていたメーカーは新興の5インチHDDメーカーに跡形もなく滅ぼされてしまう。

てか、他のサイトのまとめを読んだほうが良いね!


で、ここまで読むと、おまえらどんだけ先見性がねーんだよ!と突っ込みたくもなる。
けど、当時としては非常に判断が難しかったんだと思う。
今で言えば、タブレット型PCがノートPCを駆逐するか?というのを当てるのと同じくらいの難易度なんでしょう。確かに分からん。

結局、未来を予測なんてできないのだから、強引に未来へ導く奴が勝ちってことか!まさにジョブズ!