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*関東圏にホットスポット出現で原発について考える

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といってもJavaの話じゃ御座いません。
どうやら新居を構える千葉県北西部の一部が、放射能のホットスポットになっているらしい。具体的には柏・松戸・流山から葛飾区金町あたりまでの、現時点においても放射線量が妙に高いらしいのです。

ということで、気になる放射線量と健康への影響やらについて調べてみた。

柏だけ高い放射線量

NHK 各地の放射線量等、各県の公表している値によると、関東圏は既に安全に思えます。

ところが、千葉県の柏市では東大キャンパスや、国立がん研究センターといった信頼できそうな公的機関が複数存在し、それらが放射線量を計測しているのですが、その値が千葉県を代表して計測している市原市の値よりかなり高いのです。

東京大学環境放射線情報
国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)敷地内における放射線の測定結果

これを見ると、3/21を境に0.1uS/hだった線量が0.7uS/hまで跳ね上がっていることが分かります。そして現時点でも0.4uS/h程度の高線量。これは福島第一原発から50km弱南の福島県いわき市よりも高い値です。

直接の原因は雨

線量が高くなったのは雨が原因です。福島との往来が多い常磐道のICが近いためという意見も有るようですが *0 、雨が主要な原因であることは間違いないでしょう。都内のデータですが、

都内の降下物(塵や雨)の放射能調査結果
放射性物質降下量

21日の放射線降下物の急上昇が空間線量の上昇と一致します。

この降下量はどれほどなのか。米ソの核実験時代とチェルノブイリを比較してみます。
人工放射性降下物(死の灰のゆくえ)に拠ると、
>米ソの大規模実験の影響を受けて 1963年6月に最大の降下量となり(90Sr 約170Bq/m2、137Cs 約550 Bq/m2)

つまり、21-23日のたった3日間で、米ソが大規模核実験を競っていたときの最大月間降下量の150倍の放射性物質(Cs137)が新宿に降り注いだのです。別の見方をすると、1日で1963年の年間降下量の2.8倍だそうです。

しかしチェルノブイリは桁違いです。
チェルノブイリ原子力発電所事故 に拠れば、
>当該プラントから10km区域での放射性降下物のレベルは4.81GBq/m2であった
これだけ降ると植物も全部枯れるようです。はだしのゲンなら髪の毛を掴むと抜けてしまうレベルでしょうか。計測した核種が分かりませんが、I131なら今回の東京の累計が85KB/m2だから、これより3桁少ないです。
なお不思議なことに、茨城のひたちなかは東京の2.5倍以上降っていますが、栃木の宇都宮では東京新宿区の1/10以下、千葉の市原市はさらにそれ以下のようです。原発付近はどうなってんだかよく分かりません。

計測方法等については、1986年の論文ですが、ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故に伴う放射性降下物の観測とか読んでみると面白いです。

放射性物質はいつどうやって生まれ運ばれたか

これは余談ですが、 福島第一原子力発電所事故 のおさらいをしてみると、雨に含まれた物質の出所は、
  • 3/15 0:02 2号機ベント
  • 3/15 6:00 4号機建屋爆発
  • 3/16 5:45 4号機で火災。3号機で火災
のどれかでしょう。けれども風速を考えると計算が合わない気がします。

原発近くの当時の情報は載っていませんが、他の地域も鑑みると北風が平均風速を非常に遅めに見積もって1m/s(日速約85km/h)で吹いていたとして *1 、3日もあれば余裕で関東に到達しそうですが、それだと辻褄が合いません。可能性としては、
  • 実際は到達速度がもっと遅い
  • 本当は3/16以降にさらに漏れた
  • 21日以前に放射性物質の流れのピークが関東に来ていたけど、雨が降った21-23日だけ大量に降下した
があります。一見、最後の選択肢は3/20も雨なのに3/21と比べ一桁降下物が少ないため、有り得ないと思えますが、気象庁に拠ると、当時は殆ど降っていなかったようです。結局、雨がもっと早くから降っていれば汚染は更に酷かったし、ずっと晴天だったり風向きが違えば汚染は桁違いに少なかったのでしょう。簡単に言えば、風向きと天候次第のロシアンルーレットです。

そういえば、各国政府がシミュレーション結果を出してくれていましたが、実際の降下量から見ると、例えばIRSN フランス放射線防護原子力安全研究所の予測も当たっているのか微妙なところです。風向き風速のみならず、原発の状況、地形、降雨なども含めて精度高くシミュレートしないと、実用性のある結果は出ないのでしょう。しかし、マクロ的にどの程度拡がるか参考にはなります。無意味ではありません。日本政府から情報が出ない事について、ホンマでっかの武田邦彦先生らがお怒りになっていましたが、僕も同感です。隠しても他国から情報は出るのだから、政府への不信感が増すだけの結果になるのは当たり前です。

放射能汚染はどのように拡がるか

放射能がどのように飛びどこに落ちるのか、それは気象が完全に予測できないのと同様に、まだ現在の科学では計算できません。よって、各地で計測するしかありません。

幸い、今回はチェルノブイリという前例があります。それによれば、汚染は風向きや天候に影響されるため、まだらに、飛び地のように分布する可能性があります。

チェルノブイリの汚染マップと日本地図を重ねあわせた写真が参考になります。100km圏内でも汚染が低い所もあれば、600km離れていても汚染されている場所があるのが分かります。日本の場合は、奥羽山脈や日本アルプスがありますし、上空には偏西風があるため、中部地方や日本海側は汚染されにくいようです。

では現状観測されている情報を元に拡散マップを作るとどうなるでしょうか。
群馬大学の早川由紀夫先生がマップを作っていました

はい、完全に柏・松戸・流山がホットスポットになってますね!200km離れていますが、見事に飛び地です。

モニタリングの現状とその問題

ただしこのような線量マップは、実際にはサンプル数が少なすぎるのと、各県のモニタリングポストの高さがバラバラなため、アテになりません。また、各県のモニタリングポストは宇宙線を測るのが目的なのか知りませんが、やたらと高所に設置してあるようです。地表から離れるほど線量は減少しますから(参考動画)、これで安全と言われても説得力に欠けます。都内でも核の米権威が警告!福島より高濃度…都内にある“危険エリア”等という話が出ています。
県レベルではなく、区市町村レベルで測定を推進する必要があると思います。事実、柏で0.6uS/hを超える場所があるようです。万が一このまま減少しないと、3ヶ月で1.3mSを超えるので法律によって 放射線管理区域 にしなければなりませんが、どうするんでしょう *2 。分からないことが一番恐ろしいことです。行政が適切にモニタリングし公開することで、市民は疑問を持たず安心を得られるのだと思います。

とはいえそれも大して期待できません。だから、個人で計測しているデータを参考にするのも有りだと思います。

柏・松戸放射線観測日記
ガイガーカウンターで放射線量を測定してみた
ガイガーカウンターの数値を淡々と貼るスレ

ただ、線量は地表からの高さや少しの場所の違いによって大きく変わるし、機材の誤差もあるので、複数の情報源を持って、大雑把に把握するくらいが良いと思います。

健康への影響

いろいろ書きましたが、現状関東圏で出ている空間線量では、大きな影響が出るとは思えません。仮に0.5uS/hが1年続いたとしても年間4.4mSです。ここに拠れば、1年間で全細胞核ごとに放射線が4.4回当たる計算です。DNAはミラーリングされて修復されますから、よっぽど運が悪くなければ大丈夫でしょう。世界の高自然放射線地域の健康調査に拠れば、自然放射が年間10mSある場所だってありますし、それで逆に結核が減るという情報まで有ります。なあに、かえって免疫力がつく、という声が聞こえてきそうです。

問題は、粉塵の吸込みや食料による内部被曝かもしれません。しかしながら、人工的な放射性物質に汚染された歴史はまだ浅く、誰にも何が起きるのか正確に予測できないのが真実でしょう。

チェルノブイリのその後を調べれば分かりますが、明確な病気に罹らなくとも様々な影響が出ています。 NHKスペシャル チェルノブイリ に拠ると、400km離れた場所で20年後に甲状腺癌が急増したそうです。また、燃料棒が溶融して海に漏れているので、放射線以外にも重金属による生物への化学的影響も心配です。

歩く風評被害と揶揄される菅さんが20km圏内は20年間住めないと言ってましたが、僕はあながち間違っていないと思います。実際、そこで農業や酪農をされても、そこで生産された食料が安全になるまでに、膨大なお金をつぎ込んで急いで土を処理して再開発しても数年はかかるでしょうし、それは現実的ではないと思います。そもそも事故の処理自体がいつ終わるか分かりません。それならば、結局移住するしかありません。勿論、そんなことをただ言ったら原発被災者は不安と怒りで発狂してしまうでしょうから、代替の土地と住宅と、仕事が軌道に乗るまでの十分な資金と、十分な慰謝料を東電が主体となって支払う約束とセットで伝えるべきだったと思います。原子力事故のリスクとは、それくらい大きいものという認識は当然あったはずですから。

まとめ

調べれば調べるほど分からないことが出てきて、結局不安が残るのが放射能の怖いところですね。あと、経済性も悪くて、環境にも悪くて、事故リスクが圧倒的に高くて、可採年数もガスより少ないエネルギーを、よりによって超自然災害王国の日本に55器も造ってしまった、その事実自体があまりに薄ら寒く恐ろしい話ですよね。どこでどう間違ったんでしょうか。

原子力は夢の詰まった技術だし、いずれ宇宙へ出て行くことを考えれば必須となる技術で、僕は研究しなければならない分野であることは変わりないと思います。ただ、日本で原発を推進することは安全性から諦めた方が良いでしょう。正直、日本で今まで大事故が起きていなかったのは単なる幸運だと思います。何十年か掛けて軟着陸させるべきです。

なに?それでも日本で原発がやりたい?それなら比較的安全に利用できる後63億年は動くと言われている1億5000万km先にある巨大な核融合炉や、地面の下にある天然の巨大燃料プール(マグマの熱は崩壊熱に因るとされている)を最大限活用するのがいいと思います。
*0 : そうでもなくても幹線道路付近は線量が高くなる傾向があるみたい
*1 : 上空なら風速20m/sとかよくある 参考
*2 : 既に年間20mSまでOKになってしまったから関係ないか…って大丈夫なのかこれ

11.04.26 22:53 owotake
言ってることに文句はないが、文体に強烈な違和感があると思った。
でもって今日こんなのでたね。ちょっと狭いが言っていることはまあそんなところだろう。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/26/1305519_042618.pdf

正常性バイアスとか、正確な認識が不可能であるという事に対する正確な認識の欠如とか、
まあそんなことを最近良く考えながら酔っ払っている次第。
11.04.29 01:17 mtm
関東圏もこれくらいやってほしいねえ。
空間線量だけじゃなくて、地表の粉塵の核種も調べてほしいわ。これは素人じゃどうにもならんし。
セシウムが主だったらまだいいけど、ストロンチウムとかどれくらい出てるんだろ。

しかし、最新測定値がかなり低いな。測定条件を明記して欲しい。
単純比較したら、双葉郡浪江町津島大高木と東大柏キャンパスの線量がほぼ一緒ってことになるんだが…

正常性バイアスはあるなー、特に日本人は戦時中を省みる限り、かなり強いと思う。
たぶん、例え死の灰が降ってもみんな普段どおり満員電車で出社するんだろうなー、と思った。
社畜道とは働くことと見つけたり。当たり前か。
11.05.20 14:13 おくってる
千葉県(市原市の環境研究センター)が計測している放射線量はγ線だけです。
β線は含まれていません。
だから低い。
11.05.20 14:14 おくってる
 
 
 
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