coding, photo, plant and demo

*最近の4k introが凄い

tech demo 20120610 234420
歯ブラシ解読会に参加して以来、デモ熱が多少戻りつつある。そんな中で最近見ていなかった作品を幾つか見たわけだが、最も強烈な驚きを与えてくれたのが4k introだ。

最近の4kはただ事ではない。最近といっても2008年くらいからなんだけど、programable shaderになってから一気に面白くなった。

そんないくつかの4k introを貼っておく。
これが、4096バイトの実行ファイルのみから生まれる映像と音だと、あなたは信じられるだろうか?


Hartverdrahtet - Akronyme Analogiker | 4k Revision 2012
今年に開催されたRevisionの4k優勝作品。

http://www.youtube.com/watch?v=0w_xEUoK79o


Neanderstaller by Pittsburgh Stallers
@qatnonoilさんがオススメしてた。まさにデモという展開。

http://www.youtube.com/watch?v=PAcoerRb2xQ


elevated by Rgba & TBC _ 4k intro
これは超有名な4k。
デモシーンをよく知らない人でも衝撃を受けるレベル。
日本でも、2chまとめ系ブログで取り上げられて、はてブが500超えてる。
http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51456199.html

http://www.youtube.com/watch?v=AWcbj7ksqwE


Rudebox by Alcatraz
完成度ハンパない。曲も4kと思えない。

http://www.youtube.com/watch?v=iRW742aIa1E


Atrium by TBC & Loonies
4kはray marchingというレンダリング手法(raytraceが式を解析的に解くものだとしたら、ray marchingは数値計算で解くみたいな感じ。詳しくはRendering Worlds with Two Triangles with raytracing on the GPU in 4096 bytesを読むと良いかも。)一辺倒の中で、キューブ推しでここまでイケてるデモを作れるのは凄い。

http://www.youtube.com/watch?v=jlRoOqRs0bs


Texas by keyboarders
NVScene 2008という珍しくUSで開催されたデモ大会での優勝作品。名前の通り、NVidiaが金を出している。これに関してはkiokuさんが面白いことを書いている。
これも、映像も凄いけど、音も凄いね。どうなってんのこれ?というレベル。

http://www.youtube.com/watch?v=vRL8kf-N_S8


で、ネットを眺めていたら、iqさん(elevatedとかを作ったrgbaのcoder)へのインタビューがあった。この方、数々の革新的かつ有名なデモを作ったのみならず、自サイトで大量のデモのチュートリアルを公開されている、神のような人です。
http://datunnel.blogspot.jp/2009/08/interview-3-iq.html

これが3年前で少し古いけど、今読んでも面白かったので、簡訳してみる。

インタビュー Iñigo Quilez aka iq

やあ、みんな。今日は我らのcoder、ParadiseやElevatedで度肝を抜く様なコーディングと圧縮を魅せつけてくれた男、Iñigo Quilezにインタビューするよ。

1)10年前はTASMがあれば4k introを作るのに十分だった。けど今じゃ,少なくとも数学の学位が必要なレベルでしょう。デモシーンは本当にそんなふうに変わったのかな?ハードルはとても高くなった?

えーとね、まずTASMじゃ十分じゃないね。 0xa000とか0x3c8の数字を知らなくちゃいけないし、他にもVGAカードのレジスタやint 21hも知らないとね。それで、VESAで32bppのリニアフレームバッファのセットアップや、クレイジーなプロテクトモードの割り込みで発狂しなきゃいけない。そして、あなたはようやくラスタライザや固定小数点でのナイスなクリッピングルーチンを実装するんだ。今introを作ろうと思ってもそんなこと全く必要ないし、 パーリンノイズ 関数を知るほうがもっと役立つよ。

シーンは変わったかって?もちろん。

ハードルが上がったかって?それはどうかな。難易度は変化はしたけど。

4kの現況は、多くはプロシージャルなコンテンツで、もちろんそれは少しばかりの数学はいるけど、だからといって数学の学位が必要なわけじゃ全くない。僕自身は電気系の技術者だけど、introを作るのに自分が習った数学の10%も使わない。実際に必要なのは、内積や smoothstep 、ノイズ、コサインという言葉の裏に何があるかを知ることだけなんだ。90年代に4kのためにtrifilterを作ったことがある奴なら、smoothstepを何か理解するのは簡単だろう。だから、僕はハードルが上がったのか分からない。

一方で、4kに対する期待が膨れているのは事実だし、そのせいで4kを作るのが難しくなっているのかもしれないね…けど、同時に今では大量のチュートリアルやウェブサイトや4k introのサンプルコードがそこら中にあるわけで、学ぶのは簡単になった。

ということで、その問いに答えるのは難しいね。

2)あなたは、多くの有名な(そして大会で優勝した)64kや4k introのcoderです。他のグループの4kとかを見て、「どうやったんだこれ」とか「どうやって4kに収めたんだ」と言う事はあるの?

まずないかな。多くの4k coderは見ただけでintroでどんな技術やトリックを使ったか見当がつくもんだと思う。僕は「しかし、どうやったんだこれ」とか感じたことはないし、多分だけど、他の4k coderもそうじゃないかな。自分(僕ら)はいつも思うことは、「ちくしょー、あいつらうまいトリックを見つけやがったな!これは今まで見たことないわ、クソ!」だね。

実際ね、僕が思うに現在の4kってのは、コーディングの専門知識じゃなくて、ナイスなアイディアやアルゴリズムを見つけることなんだよ。だから、基本的に誰かがナイスなintroを作ったら、「どうやったんだこれ」じゃなくて、「俺より先に良いアイディアを思いつきやがってあいつら」が正しくて、さらに「オーケー問題ない。俺は今にもっと凄いヤツを見つけるから」なんだよね。他の4kコーダーも同じだと僕は賭けるよ。

同じことが64k introにも言えるね、Stashfr08以来本当の驚きはない、ってTracie/TBCは例外だわ。これは自分にとって魔法だったね「なんじゃこりゃ!?」と思ったよ。そして、シェーダーコードを見て、こう言ったよ「あー、おお、なるほどね、なんてこった師匠!」とね。

訳注:
1k introのTracie。これが1kなんです。

http://www.youtube.com/watch?v=UuMOe454R6I


Stash by The Black Lotus

http://www.youtube.com/watch?v=cfbjiTrctJs


fr-08: .the .product

http://www.youtube.com/watch?v=Y3n3c_8Nn2Y


3)System DLLを4kで利用するのに対する終わらない論争に対して何か意見ない?

高々100バイトか200バイトしか影響ないっての。それで4kの本質が変わるか?僕は変わらないと思うけどね。
(訳注:この質問、つまんないので訳を大幅に圧縮しました)

4)Fuction 08でのあなたの発表でデモシーナーはキューブベースの作品に惹きつけられるが、自然とか非抽象的なモノでは難しい、という結論でした。けどこれはDead Poets SocietyのDr. J. Evans Pritchardのようになるリスクはありませんか?(訳注:いちいち例えがマニアックで伝わらないんだが) 誰が正しいんでしょう?Assembly 2007でStilettoではなくCandystallを選んだ大衆でしょうか、それとも0.1%の自然や非抽象を愛するデモシーナーでしょうか?

stiletto by Rgba

http://www.youtube.com/watch?v=JcHNzaUBL4Y


Candystall by Pittsburgh Stallers and Loonies

http://www.youtube.com/watch?v=krG1ZTJcbaY


Luxo 4k by rgba & cns

http://www.youtube.com/watch?v=b-XFVLY1nb4


いや、いろいろ分類したほうがコミュニケーション上便利でしょ。
あと、ときたま悪役もやりたくなるんよ(キューブをディスってみたり)、下手だけどね。

訳注:ネタにマジレス感があるので、大幅に訳を圧縮
Dead Poets Societyは邦題「 いまを生きる 」です。こんな話らしい。教科書(Dr. J. Evans Pritchard著)を破るシーンが有名らしい。インタビュアが言いたかったのは、物事を体系化してしまうと皆の自由な発想が奪われてしまうのではないか、という懸念ではないかと思われる。

http://www.youtube.com/watch?v=tpeLSMKNFO4


4)4k introで色々なものを見てきたけど、未来っぽいの(Micropolis)、地形(Mojo dreamsElevated)、女性(Stiletto)とか、これから4kはどこへ向かうのかな?技術的にも芸術的にも。

ええと、君は非抽象なintroだけ述べたね(ほら、さっきの分類だ!)。
抽象的なintroは彼らの進化を続けるだろうね。私が思うに、"ロジックの進化"はなくて、より良い見た目になり、アートとしても感動的になるんだと思う。

けど、今挙げたような非抽象introでは、僕が思うに楽な道はリアリスティックにすることだと思う。ただ、多くの人はそう思わないかやらないんだよね。

予想をしなきゃいけないっことなら、ここ1,2年ならみんな同じような事を思っているよ。2007年から、僕らは"raymarched intros"の時代が見えているから、多くのTraciesSultsや、Nevadasを見ることになると思うよ(実際、BP09やEvoke09の作品を見てみて)。けど、デモシーンの素晴らしいところは、突然スーパークールなintroを誰かが作って、それまでの全てが過去のものになるってことなんだ。そして、それはいつでも起きうるんだよ。

訳注:ただ、現状raymarchingに変わるパラダイムは生まれてないですね。まだraymarchingでどこまで作れるかを競っている状態だと思う。

訳注:6),7)は疲れたので訳しません。原文読んでー。