しかも金土日の三日間!
デモパーティーとはなんぞや、というのを念のため説明しておくと、要はコンピュータに関するオタクが集まって酒飲んだりする会、ですかね。すいません、完全に僕の個人的定義です。それだとただの飲み会やないか、と思われそうですが、決定的に違う点は1つ。コンペティション(コンポ)があるということ。ということで、作品を何か作って発表するのがデモパーティーの醍醐味。
とはいえ、手ぶらで行っても問題無し。僕も去年は何も出さずに見に行きましたが、十分楽しかったです。とはいえ去年、よっしんさんやnikqさんのデモがスクリーンに映されて、盛り上がって歓声が上がり、表彰されるのをみてると、僕もなんか来年は作りたいなーと思ったのをよく覚えています。
実際の去年のデモコンポの様子ですが、こんな感じですね。これはdemoで優勝したLogictreeのArtifactsという作品を上映しているところです。
http://www.youtube.com/watch?v=BY9l7Fbrs8w
海外のデモパーティーだと規模も桁違いなので、盛り上がりも凄いようですね。参考までに、2007年のbreakpointというパーティーで優勝したdebrisの上映時の様子。この作品はgigazineで紹介されたくらい有名なので、知っている人も多いかな。
http://www.youtube.com/watch?v=4BMH9K1UDK8
こんな感じでコンポはあるわけですが、音楽作品や画像や映像作品等も募集しているので、そういった関係の人が多いのも面白いところ。たまたま話した人で面白かったのが、SC-88Proで曲を作っている人でなんと18歳!おかしいでしょw僕の高校生(高専生)の頃かなー、MIDIで曲を作るのが全盛だったのって。パソ通もまだ元気で、YUI-NETとかに作品が集まっていたり、MOでMIDIデータを大量に貰ったり、曲を作るのも当時はレコンポーザとかSted2とかだったよな。そっから十数年経ってるのに、今のハイティーンが同じようにハチプロ使ってたりする。不思議な世の中ですな。
で、なぜだかデモ好きにはレトロコンピュータ好きも多いようです。会場に何故か幾つかの懐かしの計算機が配置。
窓際に合ったのがMSXにファミコン。MSXが凄い美品でびっくりした。
MSXは外人も含めデモっぽいコードをライブで書いてました。てか、なぜか外人が必死にBASICのコードをオプティマイズしていて、みるみる速く動くようになってました。なんでみんなBASICのこと覚えてるん?
そして、ファミコンはファミべのよっしんさんが、ファミベを持ってきてライブコーディング!!ファミベの神がファミべでコーディングしているところを生で見られるとは…これは皆既日蝕レベルの事件ですよ。
ベーマガ時代のゲームを焼いたカセット(森田将棋のカセットのROMを自分で焼いたものに差し替えたらしいです)もありましたが、これは残念ながら起動せず。
ファミべの限界を超えた作品を見たい方はニコ動でどうぞ。
さらにAMIGA。
写真はAMIGA 500 (MC68000 8MHz)ですが、kiokuさんが最近手に入れたAMIGA 1200(060換装版?)もあってシアターで実機を使ったデモの上演もありました。
いやあ、生で見たTBLのStarstruckは良かった。
http://www.youtube.com/watch?v=eUv0jSYRBZo
AMIGA500を持ってきた方が相当数の当時のフロッピーを持ってきていて、9 fingersとか懐かしの名作を見ながら、90年代の日本におけるAMIGAのシーンに関する話を聞けて勉強になりました。当時AMIGAと言えば、憧れのマシンで田舎に住んでた僕としては、ポリゴンゲーが凄くて、ウゴウゴルーガを作った謎のスゴイマシンという感じで、エミュレータでデモを見たりはしてましたが、実機でちゃんと見るのは初めて。未だになんでこれが8MHzの68kで動いているのかよく分からん。
あとはみんなPCを持ち込んでいるので、出たばかりのUnreal Engine 4をi-saintさんが開けば、猛者たちが寄ってたかっていじり倒して解析を進めたり(ちなみに3Dグラフィクスはよう分からんので、みんなの話していることは僕は全然わかりません)、ファミコンエミュレータを作っている外人が居たり、電子工作をする人がいたり、なかなかカオスな感じでした。
で、話が脱線しましたが何か作りたいと思いつつも、3月に入っても何もしておらず、なんかあんまり時間もなさそうだし今年も手ぶらかなー、と思ったらkiokuさんから「photoでも7行シェーダーでも1日あればできるものもありますよ~」と言われ、流石に7行なら出せるだろうと思いましたが、気づいたら既に締切前日。あかんでこれは、と思いつつ夜中から製作開始。正統派で行くならレイマーチンでゴリゴリ凄い3D映像ということになるのですが、それでその筋のプロにレイマーチン初心者の僕が徹夜して勝てるわけがないので、ネタ枠で2D-DCTで何か絵を出してやろうくらいに考えてたんだけど、1時間位で早くもまともな絵にならなさそうな雰囲気がしたので断念。結局ハードルを大幅に下げてビットフィールドでTDF4という文字+変形rotzoomerという線に落ち着き、ひたすらそれっぽい絵や色が出るように係数等の調整をして、朝方になってきたので眠くなって作業終了。90年代はよくこういう変なrotzoomerを書いてたから、完全に昔取った杵柄です。
提出した7行デモ
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これでなんとか3位にでも入賞できれば、と思ってたら、andoさんもnikqさんもよっしんさんもholeさんも、会う人会う人7linesは出しました、というのでなんじゃこの猛者ばかりのコンポ、終わったわこれ、と思いましたが何故か優勝!なんという僥倖。ありがたい。2位も2Dベースのデモだったので、2Dエフェクトを提出する人が少なくレイマーチン同士で票が割れたのかな。あとは、TDFという文字を出して盛り上がったから良かったのか、1ループ60秒と尺をかなり長めにしたのでみんなの印象に残ったからか、よく分かりませんが非常に嬉しかったです。
7 Lines GLSL Graphics Compo #2のpentanさんのdemo。やっぱ一目見て印象に残るのは強いですね。
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優勝した結果、ASCII配列の青軸やらrevison Tシャツやら酒を入れるボトルやら貰えて、大変お得感あります。猫も興味津々です。
さっそくこの文章も青軸で打っていますが、音が軽快でいいですね。昔メカニカルを使っていたこともありますが、久々に使うと最初はうるせーこれ!って感じですが、徐々に音が耳に馴染んできてこの音がないと物足りなくなるんでしょうね。打鍵と音とのリズム感が気分を盛り上げてくれます。
ちょっと話を戻すと、rotzoomのような古典的2Dエフェクトは昔のデモを見たほうが分かりやすいかも。
90年代のソフトウェアレンダリングしかなかった頃は、ポリゴンラスタライザ開発競争になってからも一定の需要が2Dエフェクトには有って、決してメインディッシュには成り得ないけど効果的な脇役として活躍してました。
往年の名作、Noon - Starsの2:20あたりから少し2Dエフェクト。
http://www.youtube.com/watch?v=W1SnN4mjoFM
これは94年とさらに古いけど、名作 EMF - Verses。1:24あたりからが2Dエフェクトパート。しかしみんなゲイツ好き過ぎるだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=eYWCSHqOikY
もう一本、往年の名作Acme - 303なんかも冒頭50秒は殆どrotzoom的なエフェクトの組み合わせ。
http://www.youtube.com/watch?v=c1VHMLQVCKY
直近だとNVScene2014 demo #1の作品は効果的に2Dエフェクトを多用してますね。
http://www.youtube.com/watch?v=-sPnRNCo6wU
余談が過ぎましたが、TokyoDemoFestのハイライト、肝心のdemoコンポはかなりレベルが上がっていました。なんとCocoonからのリモートエントリーも!
Cocoon - Stochastic Process
http://www.youtube.com/watch?v=RiNxOg5NbnE
あかんやろ、Cocoon来たらみんな勝てへんやろ…と思っていたら、真打ち登場。TDFのメインオーガナイザの一人であるZavieさんのCtrl-Alt-Testより、
Ctrl-Alt-Test - G - Level One
http://www.youtube.com/watch?v=XPynjBwk8eg
これが文句なしの優勝でありました。
ctrl-alt-testと言えば、Revision 2012 64k intro #2のが有名ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=6CiF034IhgY
ちなみに何気に変態度が高かったのが、tomohiroさんの4k intro「雇用の欺瞞」でしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=vxN9dDJn4Ks
タイトルからして謎ですが、音楽を何故かvertex shaderで生成しているなど(それshaderでやる必要あるの?と全員からツッコミが)、技術的にも謎テクノロジーが使われています。ソース公開を待ちましょう。
ちなみに本来はdemo/64k intro/4k introと3つ部門が合ったのですが、作品数が少なかったのでdemoもintroも全部まとめてのコンポに変更になったようです。
それからデモ以外で忘れてならないのはセミナーです。今年凄く良かったのはUnityの高橋啓治朗さんの「デモシーンとUnity」です。デモ好きな方ならradiumsoftwareの^Cさんと言ったほうがピンと来るかもしれません。昔からのデモ好きなら間違いなく知っていて尊敬している人です。ただ、去年のUnityのセミナーはUnityの使い方初級編という感じで、Unityを使ったことない僕ならともかく、ゲームエンジン自体を作ってるようなゲーム業界の百戦錬磨の人たちや、3D関係の猛者が多数聴衆にいるのにこの内容ではレベルが合ってないのでは…と若干微妙な感じだったんですね。だから、^Cさんと言えど会社の使いで来ているわけだろうから、なかなか面白い事を話すのは難しいんじゃないか?と思ったんですが、いやはや完全に良い意味で期待を裏切られた素晴らしい講演でした。
単に面白かっただけでなく企業から見たシーンというのは考えさせられますね。ヨーロッパではデモシーンで育った才能ある若者の受け皿としてゲームや3D業界が機能しているわけで、だからこそシーンが長く続いているのかもしれません。日本でもシーンが、若者からすれば成長する場、名前を売り込む場として、企業から見れば才能ある若者を見つけ(言い方は悪いけど)青田買いする場として機能すればみんな嬉しいだろうし、日本のデモシーンももっと活発になるだろうし、そしたら僕も良いデモが日本で見れて嬉しいなー、等と色々と考えてしまいました。
そういやnikq先生に教えてもらったんですが、変態シェーダーの数々でお馴染みのiqこと Inigo Quilezさんは2009年からpixarで働いてたんですね。pixarの映画に出てくる苔やら草やら森やらなんやらがiqさんの変態コードで作られていたとは知らなかった。
http:/
インタビュー
http://www.youtube.com/watch?v=EnaA9ZRPXiE
常人には理解できないiqさんのライブコーディング。
http://www.youtube.com/watch?v=emjuqqyq_qc
だんだん取り留めもなくなってきたので、取り留め無いついでに、最後にフィンランド人3人組が酔っ払って歌っていたBUBBLE-Bの曲を貼りつつ(カラテクノも知ってるぽかった。全力坂のDVDも持ってるらしいし、めぞん一刻とかきまぐれオレンジ☆ロードとか、古い日本のマンガも知ってるし、フィンランド人って怖いな!!日本のオタクより教育されてる感ある)、素晴らしいイベントを開催してくださったkiokuさんを始めオーガナイザの皆様に感謝しつつ雑感終わりとします。
http://www.youtube.com/watch?v=fnaDTrIbOdw