史上最強図解これならわかる!分子生物学
図が一杯で分かりやすい良書です。僕みたいな素人にはオススメ。勉強するにあたってはツカミが大事。いきなり難しい本を読むと挫折するのがオチですから。
DNA,RNAとはアミノ酸とはタンパク質とは何か、DNA→RNA→タンパク質という セントラルドグマ (僕なんかはこれを聞いてもエヴァンゲリオンしか連想しないわけですが、元ネタはこれ)など基礎的なことから、遺伝子操作技術まで書かれてます。
岩波講座 物理の世界 物理と情報6 DNAと遺伝情報の物理
2005年と少し古い本で内容も少しむずかしいのだけど、生命とは何か、どうやって進化するのかという問いに対して、分子生命学の観点から一定の答えを出してくれてます。
生命とは「分子機械(ナノマシン)の集合体」で、大腸菌も人間もベースは同じ、そして生物と無生物の違いは単なる進化能の違い、という筆者の進化分子工学者としての定義は門外漢の自分にとってはSF小説を読んでいるようで、非常に刺激的でした。要は生命というのはDNAという仕組みを持っているから、うまく動いた構造を保存していくことで徐々に複雑なものに進化できるということぽい。DNAという設計図がないものは、偶然うまく動いてもそれを増やせないし、また偶然壊れてしまうから、なかなか進化できません。
昔ユーザーイリュージョンという「意識は計算から生まれる」とした本やグレッグイーガンを愛読した結果、人間の考えとは計算機上の計算過程や結果と等価だと認識していたのだけども、ハードウェアである人間の身体や脳も高度な機械でしか無いんですな。
この著者の伏見譲氏のことが気になり検索したら、有名な教授らしい(既に退官されているが)。
面白いのが蛍光標識によるDNA解析という、現在のDNA解析の基礎となる手法を発明しながらも、スポンサーの科学技術庁の意向で特許出願を取り下げることになった点。その後、カリフォルニア工科大がシークエンサー技術の特許を出してゲノム解析で米国がリードすることになります。もし伏見教授の特許が取り下げられていなければ非常な強力な特許となり、膨大な富を生んでいただろうし、ゲノム解析における日本の立場も変わってきたということで、国家的な知財戦略の大失敗の一つになっているみたい。
知財論趣 蛍光標識によるDNA解析法
http:/
誰が天才を潰すのか?
http:/
DNAを操る分子たち ~エピジェネティクスという不思議な世界
ヒトゲノム は30億塩基対があり(3Gbp=3G base pairと言う)、1塩基対当たり2bitの情報を持つから、人間の一つの細胞は約6Gbitの情報を持っています(実際は2倍体だからさらにその倍か)。脳細胞から内蔵、髪の毛、皮膚に至るまで、人体の40兆個の個々の細胞に同じ6Gbitの情報がコピーされて、それぞれが協調して動く。何故同じ情報を持っている細胞がそれぞれ分化(differentiation)して役割を分担できるのか、それを研究している分野が エピジェネティクス だそうです。
DNAの情報をROMとすればRAMに相当する部分があるはずで、それがDNAやDNAを巻きつけて纏めるリール的な役割をするヒストンというタンパク質に対する化学的な修飾(メチル化、アセチル化)ではないかと言われてます。それらをリセットするとiPS細胞のように分化前の状態になり万能性を取り戻せるようです。
他にも ホメオティック遺伝子 の話題など、セントラルドグマだけじゃ分からない様々な仕組みを解説。文章もくだけた感じで読みやすくオススメ。
生物の起源~細胞生命の起源~
http://www2.tba.t-com.ne.jp/nakada/takashi/origlife
素晴らしいまとめ。これがただで読めるなんて素晴らしい。
とはいえ、生命の起源が何なのか、というのはまだ誰も分からないというのが本当のところ。
おそらくRNAが起点となるRNAワールドじゃないかと言われています。ただ、アミノ酸が偶然できるのは実験からも明らかですが、それより遥かに複雑なものがこんなに都合よく生成されるものなのか、なかなか納得するのは難しい気もしますね。
素晴らしいまとめ。これがただで読めるなんて素晴らしい。
とはいえ、生命の起源が何なのか、というのはまだ誰も分からないというのが本当のところ。
おそらくRNAが起点となるRNAワールドじゃないかと言われています。ただ、アミノ酸が偶然できるのは実験からも明らかですが、それより遥かに複雑なものがこんなに都合よく生成されるものなのか、なかなか納得するのは難しい気もしますね。
有機化学美術館
http://www.org-chem.org/yuuki/yuuki.html
これも素晴らしいサイト。アミノ酸、タンパク質、糖やステロイド、といった人体に関係する物質から、様々な化合物が生まれた歴史等も解説してます。テフロンやポリエチレン等が研究の傍ら偶然に生まれてます。ただ偶然発見されても、何だゴミか、で終わる人と追求して世紀の発見に繋げる人もいるというのが面白いですね。
これも素晴らしいサイト。アミノ酸、タンパク質、糖やステロイド、といった人体に関係する物質から、様々な化合物が生まれた歴史等も解説してます。テフロンやポリエチレン等が研究の傍ら偶然に生まれてます。ただ偶然発見されても、何だゴミか、で終わる人と追求して世紀の発見に繋げる人もいるというのが面白いですね。
雑感
ざっくり読んでみて思うのは、当たり前なんですが恐ろしく生命というのは複雑で、かつ未解明のことが多いんだな、と。人間にしても40兆個の細胞の個々が6Gbitの共通のROMを持っていて、それらが協調・並列動作して一つの個体を成しているとは、恐るべきアーキテクチャです。さらに実際にDNA中からタンパク質まで転写される部分(狭義の遺伝子、構造遺伝子と呼ぶ)は2%以下だと言います。残りはRNAには転写されるけどタンパク質にはならなかったり、そもそも転写すらされなかったり。つまりヒトゲノムの解析が終わったと言っても6Gbitの情報を取り出しただけで、殆どが何に使われているのかよく分からないビット列だということです。
ふと思ったんですが、なんだかゲームのROMの解析に似てますね。ダンプはしたものの、どんなアーキテクチャのコードなのかデータなのかも分からない異世界のゲーム機のROM。今の段階だとようやくここはPCGっぽいな!というのがわかってきただけで、他のビット列については皆目検討がつかない。ただ、稀にここを書き換えると残機が増えるぞ!とか断片的に分かってきた部分もあるって感じ。
難易度に関しては比較にすらならないほど高い上に謎だらけで、さらに医学や工学など応用範囲も超広いとなれば、そりゃ研究としてはこれほど面白い分野はないって気がしますね。
ふと思ったんですが、なんだかゲームのROMの解析に似てますね。ダンプはしたものの、どんなアーキテクチャのコードなのかデータなのかも分からない異世界のゲーム機のROM。今の段階だとようやくここはPCGっぽいな!というのがわかってきただけで、他のビット列については皆目検討がつかない。ただ、稀にここを書き換えると残機が増えるぞ!とか断片的に分かってきた部分もあるって感じ。
難易度に関しては比較にすらならないほど高い上に謎だらけで、さらに医学や工学など応用範囲も超広いとなれば、そりゃ研究としてはこれほど面白い分野はないって気がしますね。