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*生命に関して少し調べたメモ (3) タンパク質

tech life 20151123 110422
やはりもう少しタンパク質について調べる必要があるだろう、と幾つか本を読んで気になったところをメモ。

タンパク質のフォールディング(折り畳み)

単純で一直線に安定化に向かうダウンヒルフォールディングのみならず、多状態フォールディングなどがあるらしい。
そしてそもそもフォールディングせず機能するタンパク質、フォールディングに失敗して分解されてしまうタンパク質などもあるらしい。

シャペロン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%9A%E3%83%AD%E3%83%B3
フォールディングの手助けをするタンパク質。フォールディングの成功率や時間短縮のため、手助けが必要らしい。

天然変性タンパク質
http://www.biophys.jp/dl/journal/49-1.pdf
フォールディングしないタンパク質。
フォールディングしていないにも関わらず、分解もされない。役割も一部は転写因子として機能していることは分かっているが、殆ど分かっていない。
真核生物にしか存在していないらしく、さらに真核生物のタンパク質の1/3は変性であるという。となれば、相当重要な役割を担っているはずだが、あまり研究が盛んではない分野らしい。どう考えても面白そうなのに何故ですかね。

タンパク質の品質管理

細胞の中で、人間社会の工場と同じようなタンパク質の品質管理が行われているらしい。ざっくり以下の様な工程。

  • 不良品が発見されたらラインを止める
    • 良不良の判定、それに基づいた翻訳の停止
  • 修復できるものは修復する
  • 不良品が多過ぎたら工場の外で廃棄処分
    • 不良品はリソソームにてアミノ酸に分解
  • どうしても不良品の生産が続くなら工場自体の閉鎖
    • 不良品のタンパク質しか作れなくなったら自殺(アポトーシス)

細胞とは、分子機械(ナノマシン)の設計図(核)とそれを生産する工場そのものなんですね。そして、設計図と工場自体が自己複製できる系であり、それが生命の定義である、と。
あと、いろいろ書いてあるけど、そういった仕組みがあることは分かっても、具体的にどうやっているのかはまだ謎が多いっぽい。

交通管制システム

核から出てきたmRNAは リボソーム にて翻訳されタンパク質が合成される。 小胞体 でタンパク質のフォールディングや切断・結合・糖鎖の修飾が行われ、次に ゴルジ体 でもさらに糖鎖や脂質などの修飾が行われる。その後、タンパク質は目的地へと運ばれる。不思議なのは、その輸送システム。

それぞれのタンパク質は小胞と呼ばれるものに包まれ、各々の目的地へと輸送されるらしい。ではタンパク質がペイロードだとすれば、目的地を示すヘッダーの情報はどこにあるのか?その情報を読み取って判別する仕組みは?目的地へと物理的に移動させる仕組みは?小胞を作る仕組みは?小胞を受け取る仕組みは?
輸送システム含め、膜システムがあまりに良く出来過ぎてて怖いですね。

小胞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9E

小胞輸送
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9E%E8%BC%B8%E9%80%81

第3回 細胞膜の構造と膜輸送
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~hirofun/2011cb03.pdf

参考文献

タンパク質の一生集中マスター―細胞における成熟・輸送・品質管理


専門的な内容だけど、輸送や品質管理についてまで色々と説明がしてあります。上の内容はこの本からピックアップしました。

タンパク質がわかる本―この不思議な「生命の万能素材」 (ニュートンムック)


2003年とちょっと古いですがさすがニュートン、異常に分かりやすいです。当時はよく意味が分からなかった 田中耕一 さんのノーベル賞の業績の意味や意義もよく分かります。しかし、化学系ってほんと偶然からの大発見が多い気がする。間違えたり、たまたま生成されたものを調べてみたら、実は…みたな。おそらく普通の人だったら失敗したとか、(その時点では)使い道の分からないゴミが出てきた、くらいに思ってお終いなんだろうけど、勘が鋭いというか想像力が豊かなんだろうねえ。