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*立山黒部アルペンルートでダムに嵌る

travel 20120704 225956
新幹線で越後湯沢へ。


ほくほく線を通るはくたかで一気に日本海へ出て、魚津へ。


魚津駅前、何も無い。


富山地方鉄道 の新魚津駅へ。階段を上るとそこはホームだった。


宇奈月着。
黒部峡谷鉄道 のトロッコ列車に乗る。


黒部川の脇の崖っぷちを走り、上流へ。


途中、一般人が入れない分岐が多数。



分りづらいけど滝。降雨のあった後だけできる一日滝のようだ。


ダム有り。発電所有り。


何かの工事もしている。駅員さんが良いアングルで入ってしまった。


普通に雪が残っている。


欅平が民間人の終点。下流の猿飛峡などを見る。


上流への道は途中で閉ざされていた。


樹木が折れていたり、道が破壊されていたり、自然の脅威を感じる。


宿に着く。
宇奈月国際ホテル
嫁曰く延楽が宇奈月では最もレベルが高いらしく、そんなに期待していないとのことだったけど、予想外に良かった。


部屋が二人にしてはかなり広い上に見晴らしが最高。


ご飯も素晴らしかった。これが前菜というレベル。


翌日、アルペン号で立山へ。


立山からケーブルカーで美女平へ。


そこから、バスで弥陀ヶ原へ。立山カルデラ展望台へ。
道がほとんど雪で埋まってて少し迷う。


展望台の眺め。
帰り道、嫁がメガネを紛失。見つからず。


雪の大谷。さすがに7月に入ってるので、もうそんなに残ってない。


室道。ここで2450mくらい。
美しい景色にうまい湧き水、その脇で結婚式を挙げているかと思えば、スキー客もいるカオスな世界。


幻?の ライチョウ を発見。


大観峰からのロープウェイ。黒部湖が見えてきた。


さらにケーブルカーで下る。


黒部湖、黒部ダム。


帰りは 信濃大町駅 から大糸線で松本へ、そこからあずさで新宿。





自然の凄さとそれを開拓する人の執念を感じた。
まず、最初のトロッコ列車であるが、どうやってこんなところに鉄道を通せたのか、全く意味が分らない。そして、現代の神話とも言われる、 黒部ダム 。どうやってこの秘境に、この巨大な建造物を作れたのだろうか。しかも着工は焼け野原になった戦後間もない時期である。これは、黒部に限らず 佐久間ダム 等にも言える事だけれど、焦土と化し、復興需要と共に電力不足・大停電が常態化した戦後の電源開発のために巨大ダム開発が急務であったには違いないが、今この目で見ても、その事実に対する現実感、納得感は得られなかった。まさに自分にとっても、この事業は神話のように感じられた。

というわけで、帰りがけにお土産やに在った黒部の太陽を買って帰りの電車で読んでダムに嵌ったのである。

関電は戦後の復興の要である電力供給のため、自社の資本金の5倍もの工事費を賭けて、この巨大プロジェクトを開始する。この小説は、黒部ダムに関わった人から話を寄せ集めたような内容ではあるが、一応物語上の主人公にあたる関電の責任者であり黒部のために人生のレールが敷かれたような男、芳賀公介という人物がいる。彼がこのやる前からデスマーチが確定しているプロジェクトの担当になり、途方に暮れるわけだ。

まず、現場に行くだけでも危険。欅平から日電時代に作られた水平歩道を通るのだけど、普通に死人が出る難易度。

黒部峡谷「下の廊下」想い出の歩行記
「黒部川 下の廊下と水平歩道」劇場

ということで、重機や建材を運ぶための道路が絶対に必要ということで、大町からアルプスのどてっぱらに穴を空けて黒部ダムまで繋ぐトンネルを作るのだけど、その難工事が黒部の太陽の主題である。

しかし、ダム以外にも、山奥の地下に丸ビル2個分の容積の発電所本体やら開閉所、さらにダムから発電所までの導水路など、難工事が目白押し。文字通りのデスマーチで、人が死にまくり、最終的に171人が殉職されたらしい。滅茶苦茶である。

とはいえ、これで驚いてはいけない。黒部ダムは黒部川第四発電所であるが、戦時中に作られた 仙人谷ダム の第三発電所の方が凄まじい。死者300人以上。それを語ったのが高熱隧道である。
これに関しては別途、 究極のデスマーチ小説 と題して感想を書いた。

さて、さらに恐ろしいのがこの死者数はかなり怪しいらしいということである。戦中戦後の土木工事、特に国家権力が及ばないような秘境で行われるダム工事は、無茶苦茶なものだったらしい。
 2009年7月13日 ●ダム問題 その5
によると、
 「あのな・・・、佐久間ダムや黒四ダムの犠牲者の半分は、事故じゃなくて殺人の被害者やで、当時は、行くのに歩いて二日もかかる、あんな凄い山奥の工事現場じゃ、警察も来られへんし、医者もおらなんだ。現場監督のボウシンもヤクザばっかりや。
 仕事が終われば、毎日のように酒とバクチしかあれへん。そうなればケンカも当たり前や。警察なんか絶対来んから、やりたい放題や。ちょっと気にいらなんだら、みんな剣ナタやドス持って切った張ったの世界やから、毎日のように怪我人、死人が出る。
 ところが大怪我しても医療がないから、ほとんど助からん。そいで、生きてるうちにダムの底に『人柱やー!』って放りこんでしまうわけや。
 オレの知っている連中で、殺されたのが、どんだけおるか見当もつかん」

多少、話を盛ってる可能性もあるが、こういったダムの輝かしい栄光と闇の深さが、人々というかダムマニアの心を惹きつけて止まないのかもしれない。