ロシュ限界 という言葉がある。惑星や衛星が主星に近づける限界の距離のこと。これ以上近づくと潮汐力等で惑星や衛星は破壊されてしまう。
ロシュ限界ぎりぎりの距離で公転する連星があったとしたらどうなるのか?
そこに大気や海があったらどんな光景が見られるのか?
そしてそこに知的生命体が存在したら?
そんな空想を小説にしたのがこのロシュワールド。
ネタとしては上だし、異星人とのコンタクトの意外性、クライマックスのロシュワールドならではの壮大な光景には感動を覚えるが、いかんせんロシュワールド到着までの展開が遅く忍耐が必要。直前に読んだ 太陽の簒奪者 のテンポがあまりに良かったので、尚更途中は退屈に感じた。
人物描写もデビュー作の 竜の卵 ではわりとうまく描かれていて、物理学者なのに凄いなと思った。しかしそれに反してロシュワールドではページ数が割かれている割に描写が浅く蛇足感が凄い。
ということで、前半は全力で斜め読みして、ファーストコンタクトあたりから真面目に読むという前提なら読んでもいい本かも。と思いました。